ブログ

前立腺肥大症と食事の関係|症状改善に役立つ食習慣と避けるべき食品を解説

local_offer前立腺肥大症

前立腺肥大症と食事の深い関係

前立腺肥大症は、中高年男性の多くが経験する疾患です。

頻尿や残尿感、排尿困難などの症状は日常生活の質を大きく低下させます。しかし、食事習慣を見直すことで、これらの症状を改善できる可能性があることをご存知でしょうか。

前立腺肥大症の原因には、加齢による男性ホルモンの変化が関わっていますが、実は食生活や生活習慣も大きく影響しています。前立腺肥大症の手術治療を受けた1,369人とコントロール群1,451人を対象とした比較試験では、穀物やパン、卵や肉類の摂取量が前立腺肥大症の方で多かったという結果が出ています。一方で、スープ、豆類、野菜や柑橘系の果物の摂取が多いと、前立腺肥大になりにくいことも明らかになっています。

前立腺肥大症の予防・改善に役立つ食品

青魚に含まれるオメガ3脂肪酸の力

サバやマグロ、サーモンなどの青魚は前立腺の健康に非常に有益です。

これらの魚に豊富に含まれる「オメガ3脂肪酸」は、体内で合成できない必須脂肪酸の一種で、強力な抗炎症作用を持っています。前立腺肥大症の発症抑制にも不飽和脂肪酸が効果的であるという研究データが存在します。

オメガ3脂肪酸は多価不飽和脂肪酸に分類され、悪玉コレステロールと呼ばれる「LDLコレステロール」を下げる働きがあります。さらに、前立腺周辺の炎症を抑制することで、肥大化の進行を遅らせる可能性が示唆されています。

週に2〜3回の青魚の摂取が推奨されています。特に、加熱調理よりも生のまま食べることで、オメガ3脂肪酸を効率的に摂取できます。刺身や寿司、カルパッチョなどの調理法がおすすめです。

緑黄色野菜と果物の抗酸化作用

ビタミンと抗酸化物質が豊富な野菜や果物は、前立腺の健康維持に欠かせません。

特に注目すべきは、βカロテン、ルテイン、ビタミンCです。これらの成分が豊富な果物や野菜を摂取した方は、前立腺肥大になりにくいという臨床データがあります。

βカロテンを多く含む食品には、にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、スイカ、みかんなどがあります。ルテインはほうれん草、アボカド、乾燥プルーン、小松菜に豊富です。ビタミンCはキャベツ、ブロッコリー、いちご、キウイなどに多く含まれています。

トマトに含まれる「リコピン」という強力な抗酸化物質も見逃せません。リコピンは体内の炎症を抑制し、前立腺肥大症のリスクを下げるとされています。普段の食事に積極的にトマトを取り入れることをおすすめします。

食事の基本は「バランス」です。単一の成分にとらわれず、色々な種類の野菜を食べるようにしましょう。

大豆製品に含まれるイソフラボノイドの効果

豆腐、納豆、みそ、きなこなどの大豆製品は、日本人の伝統的な食生活に欠かせない食材です。

これらに含まれる「イソフラボノイド」は、前立腺肥大症の予防に良いとされています。イソフラボノイドは、ポリフェノールの一種で、イソフラボン、イソフラバノン、ロテノン、プテロカルパン、クマラノクロモンなどに細分されます。

前立腺が肥大化する仕組みの一つに、DHTと呼ばれるホルモンが関係しています。イソフラボノイドはDHTを抑える、また変換する酵素の働きを抑える役割を持っており、結果として前立腺の肥大を防ぐのではないかと考えられています。

また、豆類やナッツは良質な植物性タンパク質の源であり、食物繊維も豊富です。食物繊維は腸内環境を整え、便秘を予防することで、前立腺への負担を軽減するのに役立ちます。

前立腺肥大症に悪影響を与える可能性のある食品

高脂肪食品と加工肉のリスク

揚げ物やファストフードなどの高脂肪食品は要注意です。

これらの食品は、体内の炎症を増加させ、前立腺の肥大化を促進する可能性があります。一部の研究では、高脂肪食品を摂取することで前立腺肥大症のリスクが1.3倍に増加するという報告もされています。

ステーキなどの赤身肉や、加工肉(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)は、飽和脂肪酸を多く含むため、前立腺肥大症のリスクを高める可能性があります。また、これらの食品は鉄分が豊富で、過剰な鉄分の摂取は酸化ストレスを引き起こし、前立腺の細胞に損傷を与える可能性があります。

可能な限り摂取量を減らすことを推奨します。完全に避ける必要はありませんが、週に1〜2回程度に抑えることが望ましいでしょう。

カフェイン飲料とアルコールの影響

コーヒーやエナジードリンクなどのカフェインを含む飲料には利尿作用があります。

カフェインは交感神経を刺激し、膀胱の筋肉を収縮させる作用が働き、頻尿や尿意切迫感を引き起こしやすくなるため注意が必要です。前立腺肥大症の人は、カフェインの摂取を控えめにすることで、症状の悪化を防げる可能性があります。

アルコールも同様に利尿作用があり、膀胱を刺激することで、頻尿や尿の切迫感を引き起こす可能性があります。特に夜間にアルコールを摂取すると、夜間の排尿回数が増加する可能性があるため、寝る前の飲酒はなるべく避けるようにしましょう。

刺激物と高塩分食品の注意点

唐辛子やわさびなどの香辛料、キムチ、スパイスカレーなどの辛い刺激物は、膀胱や前立腺を刺激します。

前立腺肥大症の症状を悪化させる可能性があるため、辛い食べ物を食べた時の症状には個人差がありますが、悪化する場合は摂取をできるだけ避けるようにしましょう。

高塩分食は体内の水分保持を促進し、夜間頻尿などの症状を悪化させる可能性があります。塩分控えめの食事を心がけることが重要です。

日常生活で実践できる食事療法のポイント

バランスの取れた食事計画

前立腺肥大症の予防・改善には、特定の食品だけに頼るのではなく、バランスの取れた食事が基本です。

植物性食品を中心とした食事を心がけ、青魚を週に2〜3回取り入れることで、オメガ3脂肪酸を効率的に摂取できます。大豆製品は毎日の食事に組み込むことが理想的です。朝食に納豆、昼食に豆腐の味噌汁、夕食にきなこを使ったデザートなど、工夫次第で無理なく続けられます。

野菜は色とりどりのものを選び、βカロテン、ルテイン、ビタミンCをバランスよく摂取しましょう。一日に350g以上の野菜摂取が推奨されています。

水分管理と排尿習慣

適切な水分管理も重要です。

水分を控えすぎると、尿が濃縮されて膀胱を刺激し、かえって症状が悪化する可能性があります。一方で、過剰な水分摂取は頻尿を招きます。一日1.5〜2リットル程度の水分摂取を目安とし、就寝前2〜3時間は水分摂取を控えめにすることで、夜間頻尿を軽減できます。

膀胱訓練も効果的です。排尿間隔を少しずつ長く延長していく訓練を行うことで、膀胱に尿が溜まる量を増やしていきます。排尿間隔をまずは15分単位で延ばしていき、最後には2〜3時間程間隔が空くように訓練します。

適度な運動と冷え対策

食事だけでなく、適度な運動も前立腺の健康に貢献します。

定期的な運動は血流を改善し、前立腺周辺の循環を促進します。特に1日30分のウォーキングは、始めやすく継続しやすい運動として推奨されます。週に150分以上の中等度の運動を行う男性は、運動習慣のない男性と比較して前立腺肥大症の発症リスクが約25%低いというデータが報告されています。

冷え対策も重要です。体が冷えると血流が悪くなり、前立腺の機能に悪影響を及ぼす可能性があります。特に下半身を冷やさないよう、入浴や温かい飲み物で体を温める習慣を持ちましょう。

まとめ〜食事習慣の改善で前立腺の健康を守る

前立腺肥大症は、食事習慣の見直しによって予防・改善できる可能性があります。

青魚に含まれるオメガ3脂肪酸、緑黄色野菜や果物の抗酸化物質、大豆製品のイソフラボノイドなど、前立腺の健康に良い食品を積極的に取り入れましょう。一方で、高脂肪食品や加工肉、カフェイン飲料、アルコール、刺激物などは控えめにすることが重要です。

バランスの取れた食事、適切な水分管理、適度な運動、冷え対策を組み合わせることで、前立腺肥大症の症状を改善し、生活の質を向上させることができます。

食事療法は、薬物療法や手術と比較して副作用のリスクが低く、心臓病や糖尿病などの他の生活習慣病予防にも効果があるという大きなメリットがあります。今日から実践できる小さな習慣の変化が、将来の健康を大きく左右します。

前立腺肥大症でお悩みの方は、まず食生活を見直すことから始めてみてはいかがでしょうか。症状が改善しない場合や悪化する場合は、専門医にご相談ください。

 

〈著者情報〉

泌尿器日帰り手術クリニック
uMIST東京代官山 -aging care plus-
院長 斎藤 恵介 

医師紹介ページはこちら

参考文献

TOPへ