泌尿器科領域における日帰り手術とは

泌尿器科領域における日帰り手術とは。

各国で起こっている人口の高齢化は、寿命の長寿化を起こしています。生活環境や住居環境、医療環境の改善により人にとっては長生きが出来る良い環境になっていますが、一方、人生の時間か伸びることにより、様々な体の変調が起こってきています。その一つが排尿障害であり前立腺肥大症や女性の膀胱脱や尿失禁です。

男性の日帰り低侵襲手術 前立腺肥大症

泌尿器科領域の前立腺肥大症日帰り手術は、欧米では5年以上前から開始されています。
現在の日本における前立腺肥大症治療は、内服治療での症状改善の治療を行うか、前立腺肥大症が重症化した時点での入院手術療法になります。内服治療は、症状改善には非常に寄与しますが、残念ながら前立腺肥大症が根治するわけではありません。こうした中、局所麻酔で治療が可能な前立腺肥大症の治療デバイスの開発が行われています。
その一つが、日本でも2022年2月に保険収載されたUrolift(ウロリフト)と2022年8月に保険収載されたRezum(レジウム)です。これらの治療は、革新的な内視鏡手術であり、切らずに治療が可能であることと治療時間は約5分-10分程度の治療です。前立腺肥大症を根治する治療ではありませんが、前立腺肥大症を縮小もしくは有効に尿道を開放していきます。現在の内服治療を終了もしくは減量をしていくことが可能になります。
こうした、治療の最大のメリットは日帰りで行うことであり、入院期間を無くすことで日常生活を阻害せずに治療が可能になり、さらには日本の医療費の抑制にも寄与すると考えています。
また、現在の前立腺肥大症の治療環境は、前立腺肥大症が重症化するまで病院に来ない、もしくは、長く薬を漫然と飲むことで、前立腺の重症化を起こしています。このことは、前立腺肥大症の重症化のみならず、膀胱の機能の喪失にも繫がっています。前立腺肥大症から起こる排尿障害の放置は、膀胱への負担を強め、膀胱の筋肉の線維化(硬くなり筋張る)、膀胱機能の低下を起こしています。(低圧膀胱)
こうした、体の変化をいち早く察知し改善することで、長く膀胱の機能を保つことに寄与すると考えています。
さらには、在宅医療で寝たきりや体の動きが悪く、介護度が高いためになかなか積極的な治療を受けられない方、また、全身麻酔など高度な麻酔をかけての治療が困難な方でも、治療を受けられるチャンスが訪れたことは非常に福音の一つだと考えています。
こうした日帰り低侵襲治療は、すでに欧米では5年間の治療効果成績のエビデンスは出ており、再手術の希望をだされた方は、レジウムで4.4%、ウロリフトで13.7%と低い再手術率を示しており治療の有効性が証明されてきています。さらに排出障害の改善が思わしくない場合でも、入院下で行われる根治的な手術療法を受けて頂くことができる内服薬治療と手術療法の中間の位置に存在する治療として手術出現しています。

女性の日帰り手術 尿失禁 膀胱脱

女性の排尿障害は、出産を契機に40歳台前後から始まっています。女性の骨盤は子供を出産するために大きく発達しています。その骨盤は、薄い筋肉(骨盤底筋群)でお腹にある臓器(膀胱や子宮、腸など)を支えています。女性は、産道を子供が通る一大イベントを経験することも多く、その際に尿道の靭帯が伸び、体重増加や年齢の変化による筋肉の衰えが、尿失禁や膀胱脱を引き起こします。
こうした、女性の人生での特徴は、年齢を経るごとに多くの問題を引き起こします。その一つが、尿失禁や膀胱脱です。しかしながら現在の医療では、内服治療もしくは入院でのTVM手術、腹腔鏡による膀胱つり上げ術などになります。内服薬の効果をより高めていくには、自分に尿道のゆるみや膀胱の機能、さらには筋肉量や体重の関係を知ることも重要となります。ましてや、仕事や家庭、育児などに追われ、男性よりも忙しく自分の時間を作ることすら難しい女性の生活環境にさらで、入院して治療を行うことが困難な方も少なくありません。
さらには、排尿の問題を「恥ずかしい」と思いしまい込んでしまう方もいます。生理用ナプキンやパットの進化で我慢してしまう方も。こうした、周辺環境から排尿の問題をおざなりにしてしまいがちです。そうすると、膀胱が次第に機能を失い、陰部環境の劣悪な状態が生まれると繰り返す膀胱炎なども起こしやすくなり、ひいては、尿漏れなどが気になり外出や活動に制限が出てきてしますこともあります。こうした方に、尿道や膀胱の機能を適切に判断し、日帰りレーザー手術(Fotanaインティマレーザー)で膣内環境を整えたり、膀胱の形を整えたり、尿失禁に関係する尿道の靭帯を整えることがレーザー治療で可能となってきています。Fotonaは、医療機器先進国であるスロベニアで開発された世界で初の画期的な治療機器であり、欧米、アジア世界各国で使われ始めています。さらには、泌尿器科領域の治療の「恥ずかしい」を払拭する、服を脱がない尿失禁治療として、同じくスロベニアのFotona社から高周波磁気治療(スターフォーマー)が開発されています。高周波磁気治療は、磁気により体内約7㎝までに筋肉は収縮し、尿道周辺のみならず、膀胱の収縮も有効に起こすことが分かっています。現在では、尿失禁や便失禁、ED治療、腰痛治療やヒップアップなどのエクササイズなど幅広く有効活用されようとしています。
時間が無い女性でも、恥ずかしくて治療を受けたくない方にでも、選択できる治療がある時代が来ています。
インティマレーザー(尿失禁・膀胱脱レーザー治療)は、1回でも効果がありますが、4回程度治療を受けるとより効果的です。スターフォーマー(磁気治療)も1回でも効果はありますが、8回セットで加療を行うことで効果のエビデンスがあります。

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