前立腺肥大症手術

なぜ前立腺肥大症の日帰り手術?

前立腺肥大症では、尿の勢いが悪くなった・尿が漏れる・何度もトイレに行く(頻尿)・残尿感といった排尿症状を生じることがあります。
当院では、排尿(おしっこ)のトラブルでお悩みの方々・生活に不安や支障をもたらしている方々に尿トラブルを改善することでより快適な生活を送ってほしいと考えています。
尿トラブルのひとつの原因が前立腺肥大症です。
前立腺肥大症による上記のような尿トラブル(排尿障害)を改善する方法として、手術という選択肢があります。
当院では、国内外で経験と技術を積んだ医師が日帰り手術を行っています。
左動画は、HoLEPという前立腺手術後の排尿を示したものですが、このように手術を行うことでスムーズな排尿が可能になります。
また、右動画はRezumといった前立腺肥大症の日帰り手術を行っている状態で、前立腺の中に均一にまんべんなく水蒸気が広がっていく様子を示しています。
前立腺肥大症の日帰り手術と言っても様々なものがあります。まずはお気軽にご相談ください。

前立腺肥大症の3つの手術

前立腺肥大症の日帰り手術には、UroLift(ウロリフト)・Rezum(レジウム)・HoLEPと呼ばれる3種類があります。
従来からHoLEPの有効性が示されてきましたが、近年RezumやUroLiftにおいてもその有効性(成績)が示されるようになってきました。
ここでは、下記3つの観点から治療成績(短期的・長期的)を説明していきます。

排尿スコアで比較する

  UroLift Rezum HoLEP
ベースライン 22 22 28
3か月後 -11 -11 ‐21
12か月後(1年後) -10 -12 ‐21
5年後 -8 -11 ‐18

排尿スコアで見ると、短期的にはHoLEPとUroLift、Rezumに差があります。しかし、長期的(5年)で見ると、その差は小さくなり、UroLiftやRezumでも一定して良好な成績(排尿スコア)があることがわかります。

QOLから見る満足度で比較する

  UroLift Rezum HoLEP
ベースライン 4-5 4.4 4.8
3か月後 -2.5 -2.1 -3.0
12か月後(1年後) -2.5 -2.1 -3.3
5年後 -2.1 -2.2 -3.3

QOL(満足度)で見ても、短期的にはHoLEPとUroLift、Rezumに差があります。しかし、長期的(5年)で見ると、その差は小さくなり、UroLiftやRezumでも一定して良好な成績(QOL)があることがわかります。
※0~6で評価しており、0に近いほど満足度が高いことを示しています。

合併症から見る満足度で比較する

  UroLift Rezum HoLEP
腹圧性尿失禁 - - 1.3~44%(3か月後)
1%(1年以上経った場合)
切迫性尿失禁 3% 5.9% 44%
排尿障害 9% 16.9% 59%
尿閉(尿が出ない) <0.01% - 0.5~8.1%
輸血 - - 1.6%

合併症から見ると、HoLEPでは一定数尿失禁や排尿障害といった尿トラブルが生じるのに対して、UroLiftやRezumは合併症が低い(起こりにくい)といった特徴があります。

経尿道的前立腺切除
(TUR-P)とは

経尿道的前立腺切除(TUR-P)とは外尿道口から内視鏡を挿入して、肥大した前立腺の部分を電気メスで切除する手術です。手術は下半身麻酔で行い、肥大の程度によっても異なりますが平均2時間程度です。術後は止血のために尿道カテーテルを挿入します。
この手術の特長は、比較的短時間で手術が完了する点と、正確に肥大部分を切除することで術後の尿失禁のリスクを最大限に減らすことができることにあります。


経尿道的レーザー
前立腺核出術
(HoLEP)について

経尿道的レーザー
前立腺核出術(HoLEP)とは

前立腺肥大症は薬では根治できないため、根治させるには手術による治療が必須のものとなります。そのため近年では尿道を通して内視鏡で手術を行うためのレーザー機器が開発され、様々な方法で低侵襲の治療が可能になってきました。経尿道的レーザー前立腺核出術とは、ホルミウムレーザーという水への吸収性が高く、わずか0.3-0.5mmと皮下深くには到達しない性質のレーザーを利用し、前立腺の内側(内腺:前立腺本体)を被膜から剥がし形ごとくり抜く手術です。くり抜いた内腺を膀胱内に落とし、モーセレーターと言われる細切する機器で細かくし吸引する手術です。治療する前立腺の大きさに制限はなくでも確実に核出することができ、出血も少ない手術です。Rezum術後の再発症例等にも行うことが可能です。当院では、800例以上のHoLEPの経験があり、院長自身が現在も大学病院で手術と技術指導を行っています。

HoLEPをお勧めする方・
前立腺が大きい方

  • 前立腺が大きい方
  • 根本的な治療を希望される方
  • 排尿障害が強い方
  • 基礎疾患(罹患歴を含む)が少ない方(全身麻酔が可能な方)

など

HoLEPをお勧めしない
(できない)方

  • 手術を希望されない方
  • 術後の早期の尿失禁を気にされる方
  • 生殖年齢にあり逆行性射精を気にされる方
  • 基礎疾患(罹患歴を含む)の多い方(全身麻酔・腰椎麻酔をかけるのが難しいかた)

など

接触式レーザー
前立腺蒸散術(CVP)とは

接触式レーザー前立腺蒸散術(CVP)は、波長980nmの高出力ダイオードレーザーを用いた接触式レーザー前立腺蒸散術です。尿道を通して内視鏡を挿入し、前立腺組織に光ファイバーの先端を接触させて高出力のレーザー光を照射することで、前立腺の肥大組織に高熱を与え、組織中の水分や血液を一瞬で沸点に到達させて蒸発させ、組織を気化して消失させてしまう手術方法です。そのため蒸散と同時に止血されてしまうことで、出血も少なく、抗血栓薬や抗血小板薬などの休薬も不要で、非常に侵襲の低い最新の手術方法です。また、手術に使用する内視鏡のスコープはその他の手術に使用するものより細くできているため、術後の尿道への影響も少ないこともメリットの一つです。

接触式レーザー
前立腺蒸散術(CVP)の特徴

  • 手術中の出血がほとんどありません
  • 抗血栓薬、抗血小板薬などの服用者でも休薬の必要がありません
  • 手術に要する時間は60分以内です
  • 内視鏡の径が細く尿道への影響が少ないため術後の痛みが少なくて済みます
  • 術後尿失禁を起こす可能性が少なくて済みます
  • 頻尿症状が改善する可能性が最も高い術式です
  • 再発の可能性が低い術式です
  • 健康保険が適用になります

前立腺低侵襲手術の手術までの流れ

当院での手術前のご注意

  • 手術前に抗生剤内服を忘れないで下さい。
  • 抗血小板剤、抗凝固剤(血液サラサラ)のお薬を飲んでいる方は申し出てください。
  • 遠方からの患者様は、近隣のホテルへの1泊宿泊をお願いする場合があります。
  • 手術当日は、付き添いの方と受診してください。

※諸注意をお守り頂けない場合は、患者様の安全を考慮して手術中止となる場合があります。

前立腺肥大症低侵襲手術(ウロリフト・レジウム)

  • 問診、各症状スコアアンケート等
  • 排尿力ドック(今後の排尿障害治療のための体の状態を調べます)
    ・尿流量測定+残尿測定
    ・ホルモン採血
    ・超音波検査等
  • 感染症検査(手術に向けて感染症の有無を調べ抗生剤の投与種類などを把握します。)
    ・感染症採血
    ・尿培養検査
  • 排尿機能検査(手術に必要な前立腺内部の形態や麻酔方法などを選択します。)
    ・内視鏡
    ・膀胱内圧測定

手術当日の流れ

受診

体温測定・血圧測定などのバイタル測定検査をします。
※血圧の異常高値や37度以上の発熱がある方は中止になる場合があります。

術前処置

  • 尿道の局所麻酔
  • 前立腺ブロック等の局所麻酔
  • 20分前後の安静

手術

  • 内視鏡による手術開始
  • 所要時間5分から10分

術後

  • カテーテル留置の場合:術後10分程度お休み頂き帰宅
  • カテーテル留置の無い場合:術後10分程度お休み頂き、排尿後の残尿測定を行い帰宅

※術後のカテーテル留置の有無は、術式・術中所見により変わります。

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