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医師が語るED衝撃波治療|効果を最大化する7つの条件

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EDに対する衝撃波治療とは?医師が解説する最新アプローチ

勃起不全(ED)は40代前半から始まる男性によく見られる問題で、年齢とともに増加します。多くの患者さんがED治療薬に頼っていますが、根本的な改善を求める声も少なくありません。近年注目を集めているのが「ED衝撃波治療」です。

衝撃波治療(ESWT:Extracorporeal Shock Wave Therapy)は、陰茎に低強度の衝撃波を照射することで血管の若返りや毛細血管の増加を促し、血流を改善する治療法です。血流低下が原因のEDであれば、根本治癒が期待できます。

施術内容は、スティック状の照射機から出る衝撃波を陰茎へと当てていくだけです。痛みはほとんどなく、1回20分程度で、週1回ペースで4〜6回実施するのが一般的です。

私は泌尿器科医として多くのED患者さんを診てきましたが、衝撃波治療は従来のED治療薬とは異なるアプローチで、多くの可能性を秘めています。特に血管性EDの患者さんにとって、根本的な改善を目指せる治療法として注目に値します。

当院では最新の、服を脱がずに、非侵襲的にED治療を行うことができます。こちらについても解説してまいります。

衝撃波治療はなぜEDに効果があるのか?作用メカニズム

衝撃波治療がEDに効果を発揮するメカニズムについて、医学的な観点から解説します。この治療法の核心は「血管新生」と「神経再生」にあります。

まず、陰茎に照射される低強度の衝撃波は、組織に微細な機械的刺激を与えます。この刺激が血管内皮細胞を活性化させ、血管内皮増殖因子(VEGF)などの成長因子の放出を促します。これらの成長因子が新しい血管の形成を促進するのです。

具体的なプロセスは次のようになります。

  • ・陰茎に直接衝撃波を照射する
  • ・陰茎内の血管が振動する
  • ・新しい血管を形成する「細胞増殖因子」が放出される
  • ・新しい血管が増える
  • ・EDの症状が改善される

また、衝撃波は神経組織の再生も促進します。EDの原因が神経損傷にある場合、この作用は特に重要です。神経成長因子(NGF)の放出を促し、損傷した神経の修復を助けるのです。

さらに、衝撃波治療には抗炎症作用もあります。慢性的な炎症は血管や神経の機能を低下させる要因となりますが、衝撃波はこの炎症を抑制し、組織の修復環境を整えます。

これらの作用が複合的に働くことで、陰茎の血流が改善され、勃起機能の回復につながるのです。従来のED治療薬が一時的に血管を拡張させるのに対し、衝撃波治療は血管そのものを再生させる点が大きな違いです。

ED衝撃波治療の効果を最大化する7つの条件

私の臨床経験から、ED衝撃波治療の効果を最大限に引き出すためには、いくつかの重要な条件があることがわかっています。ここでは、治療効果を高める7つの条件について詳しく解説します。

1. 適切な患者選択 - 血管性EDに最も効果的

衝撃波治療は、すべてのED患者に同じように効果があるわけではありません。特に血管性EDの患者さんに最も効果を発揮します。糖尿病や高血圧、高脂血症などの血管リスク因子を持つ患者さんや、喫煙者などは血管性EDを発症しやすく、衝撃波治療の良い適応となります。

一方、心因性EDが主な原因の場合や、重度の神経損傷によるEDの場合は、効果が限定的なことがあります。また、ホルモン性のEDにも直接的な効果は期待できません。

2. 最適な治療プロトコルの選択

衝撃波治療のプロトコルは、エネルギー密度、周波数、治療回数、間隔など、さまざまな要素で構成されています。研究によると、0.09〜0.15 mJ/mm²のエネルギー密度、週1回の頻度で4〜6週間の治療が最も効果的とされています。

私の経験では、患者さんの症状や年齢によってプロトコルを調整することが重要です。軽度から中等度のEDでは標準的なプロトコルで効果が見られますが、重度のEDではより長期間の治療や、より高いエネルギー密度が必要になることがあります。

3. 治療のタイミング - 早期介入の重要性

EDの症状が現れてから早期に治療を開始することで、効果が高まります。長期間EDが続くと、陰茎の組織に不可逆的な変化が生じることがあり、治療効果が減弱する可能性があります。

特にPDE5阻害薬(バイアグラなどのED治療薬)に反応しなくなってきた段階で衝撃波治療を検討すると、良好な結果が得られることが多いです。

4. 併用療法の活用

衝撃波治療単独でも効果はありますが、他の治療法と併用することでさらに効果を高められます。PDE5阻害薬との併用は特に効果的で、衝撃波治療によって再生された血管に対して、PDE5阻害薬がより効果的に作用するようになります。

また、生活習慣の改善、運動療法、骨盤底筋トレーニングなどを組み合わせることで、総合的な勃起機能の改善が期待できます。

5. 適切な機器の選択

衝撃波治療に使用される機器には、集束型と放射状の2種類があります。集束型は組織浸透の深さが10〜12cmで、エネルギーが0.09〜1.5 mJ/mm²と高く、EDの治療に適しています。一方、放射状は浸透深度が3cm未満で、エネルギーも0.02〜0.06 mJ/mm²と低いため、EDの治療効果は限定的です。

レノーヴァやドルニエなどの医療用に認証された機器を選択することが重要です。これらの機器は臨床試験でその効果が実証されており、安全性も確保されています。

6. 経験豊富な医師による施術

衝撃波治療の効果は、施術者の技術と経験に大きく依存します。陰茎の解剖学的構造を理解し、適切な部位に正確に衝撃波を照射することが重要です。

特に海綿体動脈や陰茎根部など、血流の重要なポイントに対する照射が効果を左右します。経験豊富な医師による施術を受けることで、治療効果を最大化できます。

7. 継続的なフォローアップと評価

衝撃波治療の効果は個人差が大きく、治療後の経過観察が重要です。治療効果を定期的に評価し、必要に応じて追加治療や治療方針の変更を検討することが、長期的な効果維持につながります。

国際勃起機能指数(IIEF-EF)や勃起硬度スケール(EHS)などの客観的指標を用いて効果を評価することで、治療の成否を適切に判断できます。

ED衝撃波治療の臨床効果 - 医学的エビデンスから

衝撃波治療のEDに対する効果については、多くの臨床研究が行われています。ここでは、最新の医学的エビデンスに基づいて、その効果を検証します。

複数のシステマティックレビューとメタ分析によると、衝撃波治療は偽治療(プラセボ)や無治療と比較して、国際勃起機能指数(IIEF-EF)の平均スコアと臨床的に重要な最小差異(MCID)を達成した男性の割合を有意に増加させることが示されています。

具体的には、Yaoらの2022年のメタ分析では、衝撃波治療を受けた患者群は対照群と比較して、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の追跡調査においてIIEF-EFスコアが統計的に有意に改善したことが報告されています。

また、勃起硬度スケール(EHS)についても、衝撃波治療群では有意な改善が見られています。Sokolakisらの2019年の研究では、衝撃波治療を受けた患者の方がEHSスコアが3以上に改善する可能性が高いことが示されています。

特に注目すべきは、PDE5阻害薬に反応しない患者群でも衝撃波治療が効果を示したという報告です。これは、薬物療法では効果が得られなかった患者さんにも新たな治療選択肢を提供できる可能性を示しています。

ただし、すべての患者さんに同様の効果が見られるわけではありません。サブグループ解析によると、血管性EDの患者さん、特に軽度から中等度のEDの患者さんで最も効果が高いことが示されています。

また、治療効果の持続期間については、多くの研究が6ヶ月から12ヶ月の追跡調査を行っていますが、それ以降の長期的な効果については、さらなる研究が必要とされています。

ED衝撃波治療の安全性と副作用

衝撃波治療の大きな利点の一つは、その高い安全性です。これまでの臨床研究や実際の診療経験から、重篤な副作用はほとんど報告されていません。

Rosenbergらの2023年のシステマティックレビューでは、治療関連の有害事象はほとんど報告されておらず、治療中止例もなかったことが示されています。アジア太平洋性医学会のガイドライン(2021年)でも、衝撃波治療は安全で忍容性の高い処置であると述べられています。

ただし、まれに以下のような軽微な副作用が報告されています:

  • ・治療部位の一時的な軽度の痛みや不快感
  • ・皮膚の軽度の発赤や腫れ
  • ・軽度の内出血
  • ・一過性の感覚異常

これらの副作用のほとんどは自然に消失し、特別な処置を必要としません。

衝撃波治療は非侵襲的な治療法であり、麻酔を必要とせず、治療後すぐに日常生活に戻ることができます。また、ED治療薬でしばしば問題となる頭痛、顔面紅潮、鼻づまりなどの全身性の副作用もありません。

ただし、以下の条件に該当する患者さんは、衝撃波治療を受けられない、または慎重に検討する必要があります:

  • ・陰茎に急性炎症がある場合
  • ・陰茎に活動性の感染症がある場合
  • ・陰茎に悪性腫瘍がある場合
  • ・血液凝固障害がある場合
  • ・陰茎プロテーゼが挿入されている場合

また、衝撃波治療は日本では現在、ED治療としては未承認であり、自由診療となります。そのため、治療を受ける際には、医師と十分に相談し、期待される効果とリスクについて理解した上で判断することが重要です。

ED衝撃波治療の費用と保険適用について

ED衝撃波治療は、その効果が期待できる一方で、費用面での考慮も必要です。ここでは、治療費用の相場や保険適用の状況について解説します。

日本におけるED衝撃波治療の費用相場は以下の通りです:

  • ・1回あたり:5万〜10万円
  • ・治療完了までの総額(4〜6回実施):20万〜40万円程度

この費用は医療機関によって異なり、使用する機器や治療プロトコル、地域などによっても変動します。また、初診料や検査費用が別途かかる場合もあります。

現在、日本ではED衝撃波治療は保険適用外の自由診療となっています。そのため、全額自己負担となります。一方で、整形外科領域では足底腱膜炎などに対する衝撃波治療が保険適用されていますが、ED治療としては未承認です。

費用面では高額に感じられるかもしれませんが、ED治療薬との比較で考えると、長期的な視点では経済的なメリットがある場合もあります。ED治療薬は性行為のたびに服用する必要があり、長期間使用すると累積コストが高くなります。一方、衝撃波治療は一定期間の治療で効果が持続する可能性があります。

費用を抑えるためのポイントとしては、以下のようなことが考えられます:

  • ・複数のクリニックで料金を比較する
  • ・初回限定割引や期間限定キャンペーンを利用する
  • ・パッケージプランを検討する(複数回分をまとめて契約すると割引がある場合も)

ただし、単に費用が安いというだけでクリニックを選ぶのではなく、医師の経験や使用する機器の種類、アフターケアの充実度なども総合的に判断することが重要です。

スターフォーマーを使用した最新ED治療

当院では、高強度高周波磁気治療を使用して、服を脱がずに、非侵襲的にED治療を行っています。

直接陰茎を露出して行う治療ではなく、服をきたまま体の10㎝奥まで到達する磁場内での治療を行っており効果を出しています。

多彩なモード変更を行い陰茎につながる骨盤底と陰部神経、陰茎の直接刺激を行い治療をしていきます。

コスト面でも1回18000円+初診、再診料でコストパフォーマンスは良好。1クール8回のセッションで治療を行います。

詳しい説明はこちらのページを参照ください。

まとめ:ED衝撃波治療の可能性と限界

ED衝撃波治療は、従来のED治療薬とは異なるアプローチで、根本的な改善を目指せる治療法として注目されています。血管新生や神経再生を促進することで、勃起機能の回復を図るこの治療法は、特に血管性EDの患者さんに有効です。

臨床研究からは、衝撃波治療がIIEF-EFスコアやEHSスコアを有意に改善することが示されており、特にPDE5阻害薬に反応しない患者さんにも新たな治療選択肢を提供できる可能性があります。また、副作用が少なく安全性が高いことも大きな利点です。

しかし、すべての患者さんに同様の効果が得られるわけではなく、効果を最大化するためには、適切な患者選択、最適な治療プロトコル、経験豊富な医師による施術など、いくつかの重要な条件があります。

また、日本では現在、ED治療としては未承認であり、費用も自己負担となるため、経済的な負担も考慮する必要があります。

ED衝撃波治療を検討する際には、自分のEDの原因や重症度、期待する効果、費用などを総合的に考え、専門医と十分に相談した上で判断することをお勧めします。また、治療効果を高めるためには、生活習慣の改善や他の治療法との併用も検討する価値があります。

泌尿器科医として、ED衝撃波治療は多くの可能性を秘めた治療法だと考えています。今後さらなる研究や技術の進歩により、より効果的で個別化された治療が可能になることを期待しています。

ED治療は身体的な問題だけでなく、精神的な健康や生活の質にも大きく関わる重要な医療です。勇気を出して専門医に相談し、自分に合った治療法を見つけることが、より充実した生活への第一歩となるでしょう。

〈著者情報〉

泌尿器日帰り手術クリニック
uMIST東京代官山 -aging care plus-
院長 斎藤 恵介 

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