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「膀胱の柔軟性が若返りのカギ」夕刊フジ(8月17日掲載)

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排尿障害とエイジングケアに特化したクリニックを今年7月、東京・代官山に開院した院長の斎藤恵介です。健康と若さを損なう夜間頻尿を防ぐには、
①前立腺肥大症などの病気の適切な治療、
②質の良い睡眠確保のための生活習慣や環境の見直し、
③膀胱の健康を維持することが大切になります。

 

今回は、③膀胱の健康について紹介します。

膀胱は、腎臓で作られた尿をためる臓器です。個人差はありますが、150-350mlほどの尿をためることが可能で、膀胱に150ml程度たまると尿意を感じてトイレへ行きたくなるのが一般的です。

 

尿がたまると広がって膀胱の壁は薄く引き伸ばされます。このとき、膀胱の壁の血流は一時的に悪くなりますが、残尿なくきちんと排尿すれば膀胱の壁は元の大きさになり、血流はよくなります。この虚血再灌流(きょけつさいかんりゅう)が膀胱の機能を保つには重要なのです。

 

膀胱の働きを妨げる要因はいろいろありますが、男性では前立腺肥大症が代表格です。前立腺は、膀胱の真下に尿道を囲むように位置しています。前立腺肥大症になると、前立腺が大きくなって尿道を塞ぐようになるため、尿道の流れが悪くなり排尿の勢いが落ちます。

 

尿をもっと出そうとしていきんでも、尿道が狭くなっているので、すっきりとは出にくい。前立腺肥大症では尿を出し切れない残尿が膀胱に残ると、膀胱の壁はきちんとしぼむことができなくなります。

 

前立腺肥大症の残尿は、膀胱に24時間たまり続けるため、膀胱の壁は血液が足りない状態で硬くなり(線維化)、広がりにくく尿をためづらい膀胱になります(低圧膀胱・低コンプライアンス膀形)。すると、わずかに尿がたまっただけで尿意を感じやすくなります。

 

また、残尿に腎臓で新たに作られた尿が加わると、排尿の間隔が短くなります(頻尿)。それが夜間にも続き、夜間頻尿の原因の1つになるのです。結果として、膀胱の健康は損なわれます。

 

膀胱の健康を守るには前立腺肥大症などの適切な治療を受けて残尿を減らしたうえで、水やお酒を飲む時間や入浴時間の習慣の見直しも大切になります。加えて、勝胱とその周辺の筋肉や神経に刺激を与える高周波磁気治療(スターフォーマー)や骨盤底筋群を鍛えることに特化した特殊なPNF療法なども組み合わせれば、頻尿を抑えると同時に、膀胱の健康を守る一つの方法となります。

 

膀胱は、悪くなるまでは物言わぬ臓器ですが、膀胱の健康も意識した生活を心がけていただきたいと思います。

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