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泌尿器科Q&A④(夕刊フジ9月25日掲載)

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泌尿器Q&A④

今年7月、東京・代官山に排尿障害とエイジングケアに特化したクリニックを開院した斎藤恵介院長が、あまり知られていない泌尿器に関する質問に答えます。

 

Q 前立腺肥大症と診断されました。できれば、治療を受けることなく夜間頻尿を減らしたいのですが、食生活の見直しだけで可能でしょうか?

A 前立腺肥大や排尿障害の程度にもよりますが可能です。夜間頻尿の原因は、前立腺肥大症による排出障害に加え、夜間多尿や前立腺肥大症に合併する過活動膀胱や浅睡眠などが関与しています。これらは、食習慣や飲水習慣が関わることが多いのです。食習慣生活が原因の場合、前立腺肥大症の治療を受けた後も夜間頻尿が起こります。

 

夜間多尿を改善する生活習慣改善のひとつに「水分をとるタイミング」の問題があります。特に夏場は夜間の心筋梗塞や脳卒中を防ぐために、寝る前の水分補給が一般的に勧められています。しかし、抗利尿ホルモンの分秘や感受性の低下によって、睡眠前に飲んだ水分は寝ている間にどんどん尿になります。加えて、体が横になると腎臓への血流が一気に増し、尿が作られやすくなる仕組みにも関係しています。

 

睡眠ホルモンのメラトニンが低下した人は、睡眠の質の低下により、尿意ですぐに目が覚めるという膀胱の機能的容量の低下が起こるのです。

 

夜間多尿を防ぐには、日中では体重✕2025ml程度の飲水を十分に補給し、熱中症、脳梗塞、心筋梗塞、腎機能保護をすることを勧めています。一方、就慢2時間前からは、水分補給はうがい程度にしましょう。

 

ただし、飲酒は約4時間後に多量に尿が作られます。眠る直前までお酒をだらだらと飲んだときは、夜間にたくさん排尿をしているのではないでしょうか。晩酌を早めに切り上げ、寝る4時間以上前に飲酒を終えるなど、寝るタイミングと飲むタイミングを調軽してみてください。効果は絶大です。

 

年齢による自身の体の変化に気付き、抗利尿ホルモンの変化や睡眠ホルモンの変化をコントロールし、ホルモンの生体リズム(サーカディアンリズム)を整えることが大切といえます。日中は活動的に動き、夜ぐっすり眠ることが、夜間頻尿を防ぐコツでもあるのです。

 

当院では生活習慣改善を指導したうえで、それでも症状改善が難しい場合はホルモンの補充によって生活リズムを軽えるサポートもしています。男性ホルモンを高めることで、夜間頻尿が軽減することも知られています。

 

もちろん、夜間頻尿は前立腺がんや膀胱がんなどでも起こります。夜問頻尿が続くようならば、一度、泌尿器科で原因を調べてもらいましょう。

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