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泌尿器科Q&A①(夕刊フジ9月4日掲載)

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泌尿器科Q&A①

 

今年7月、東京・代官山に排尿障害とエイジングケアに特化したクリニックを開院した院長の斎藤恵介です。排尿障害など泌尿器系の症状では、デリケートゾーンということもあり医療機関の受診をためらう人が少なくありません。そのため、最新治療など知られていないことがたくさんあります。そこで4回にわたり「泌尿器QA」を紹介します。1回目のQは「男女で頻尿が異なる原因」です。

 

Q 男性の夜間頻尿の原因は前立腺肥大症に関わることが多いといわれます。女性の頻尿の原因は何でしょうか?

A女性の夜間頻尿で多い原因は、過活動膀胱や骨盤臓器脱(膀胱脱)です。

 

膀胱は、尿が150mlたまると尿意を感じる仕組みがあります。過活動膀胱では、尿がたまってなくても、敏感に尿意を感じたり、膀胱が勝手に縮んで尿を出そうとします。そのため、トイレの回数が多くなり、急に尿意を感じて我慢できなくなる尿意切迫感や、トイレに行く前に尿を漏らしてしまう切迫性尿失禁も伴います。

 

つまり、膀胱が正常な働きができなくなっている状態が過活動膀胱です。その原因として、女性の場合は骨盤底筋群の機能低下や勝胱の血流低下が大いに関係しています。

骨盤底筋群は骨盤の底にある薄いハンモック状の筋肉が、何層も折り重なって成り立っています。

 

膀胱や腸、子宮などを支えると同時に、尿道、肛門、膣の括約筋の開閉にも関わっています。腹部の全重量を支える骨盤底筋群の機能が低下していると、膀胱などの臓器が下がってきたり、括約筋のゆるみが生じます。たとえば、何かを持ち上げようとして腹部に力を入れたときに腹圧がかかると、機能下の骨盤底筋群では支えきれず、膀胱脱や腹圧性尿失禁が生じます。

 

出産で骨盤底筋にダメージ

膀胱脱で膀胱が膣の方へ下がると強く変形し、一度で尿を出すことが困難になります。残尿が常にあると24時間膀胱が張った状態となり、膀胱の虚血(血液が足りない状態)を引き起こします。その結果、過活動膀胱や低圧膀胱といって縮む力・尿をためる力も失われます。

 

女性の場合は、出産で赤ちゃんが膣から出るときに骨盤底筋が大きなダメージを受けます。そのため、若い頃から骨盤底筋群機能低下や膀胱脱を引き起こし、排尿障害に悩む人は少なくありません。

もちろん、骨盤底筋群の機能回復や膀胱脱を改善する治療はあり、私(斎藤)のクリニックも得意としています。男性でも骨盤底筋の機能低下は起こりますので、頻尿で悩むときにはパートナーと一緒に医療機関を受診してみてください。

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